雪鳥の記憶

趣味とかの記録

舞台感想2本、「タイムリピート」と「ゲゲゲの先生へ」

★は個人的好み度(一般的な出来の良し悪しを評定するつもりはないです)

※注意:タイムリピートの感想のみネタバレ有り

2018/09/28 演劇女子部 「タイムリピート~永遠に君を想う~」 ★★★★☆

※2018/09/28, 09/29 3回, 10/03, 10/08(千秋楽)鑑賞

秀作。
いわゆるタイムループもの。
SFと人間ドラマをよく2時間に収めたなという印象。

SFについては、もっともらしさの論証は時間がかかると踏んで諦めたのか、結構バッサリ。
その代わり、タイムリピートを前提とした仕掛けは面白い。
特に好きだったのは、

  • ミュージカルなので歌もリピートしそうなところを二周目はキャンセルかけるところ。他の周は上手いことそれより手前で誰かしらが止めている。
    そして最終周だけは歌う条件満たしているのにナチュラルにスキップされるので、エンディングルートに入ったことを体感する。
  • リピート終端の情報を得るためには該当者にもリピートして貰う他無い、という作りになっていたことに気付かされた瞬間。
  • 結末。そうきたかってなる。

のあたり。

人間ドラマ部分については、恋愛のポイントとして定番である、

  • 秘密の共有:なんかいきなり打ち明ける
  • 理解と共感:わかるわかる宣言
  • 共通点がある:「僕も一緒だから」
  • 頭がいい:ルナが気付かない点に気付く
  • ギャップ:弱々しかったのに力強くなる

をごく自然に短期間で踏んでいくソーマのモテ力。
そりゃルナも落ちますわ。

仲間の頼もしさの描写も好きで、序盤は物事を信じさせるのにロジックが必要だったが、5人周なんかは5人が言ってるんだからでさらっと通じるのが良い。
仲間というのがテーマでもあると思うので、こういうの大事。

そしてアイドルの舞台でもあるので、それぞれの登場人物をちゃんと魅せることも上手く盛り込んである。妙技。

結末に捻りはあるものの、王道は王道。
ストレートに撃ち抜いてくれる良い舞台だった。

2018/10/13 「ゲゲゲの先生へ」 ★★★★☆

本作は、「イキウメ」を拠点に劇作家、演出家として活躍している前川知大が脚本、演出を手掛ける新作。水木しげるの「世界観」を原作にした完全なオリジナルストーリーに、幾つかの原作短編を織り込んでいきます。ある一つの作品の舞台化でも、評伝でもなく、水木しげるの人生観、世界や“不思議”との関わり方を、膨大な作品群とその登場人物、エッセイやインタビューで語られた言葉、エピソードから読み解き、新しい物語を編み上げます。SFやオカルトなど日常世界の裏側から人間の心理を描き、空間・時間をシームレスに編集する演出を得意とする前川が、水木作品に挑戦するのは、まさに必定ともいえる巡りあわせでしょう。

ゲゲゲの先生へ|公式|東京芸術劇場プレイハウスより

脚本・演出 前川知大ということで観劇。
自分は水木しげる作品に詳しくは無いが、問題無く楽しむことが出来た。
反都会の思想観がやや古めかしいところもあれど、面白おかしく描かれていて嫌味は少ない。
イキウメっぽいSFめいた描写は無いものの、妖怪の存在感はリアルでどこか奇ッ怪っぽさもあって程良い湿度。
素直な楽しみ方が出来る劇だった。
スッキリ終わったが、水木しげるファンであればもっと楽しめたかもしれない。