雪鳥の記憶

趣味とかの記録

舞台感想「陰陽師」と「錦芸能舎の夏」

★は個人的好み度(一般的な出来の良し悪しを評定するつもりはないです)

2017/07/17 朗読劇「陰陽師」 ~藤、恋せば~ 陰公演 ★★★☆☆

動きの少ないタイプの朗読劇。
主に声使いだけで空気感を作り上げる腕に唸る。
複数の役をこなす技と、表現の艶めかしさ。
蜜虫の舞を眺める響さんの優しい表情だけでも、観に行った甲斐があった。

2017/08/05 劇団ハーベスト 第12回公演 「芸能事務所 錦芸能舎の夏」 ★☆☆☆☆

ハーベストは当たり外れが激しいのも味。外れの方。
寸劇の寄せ集め。たまに笑うけどそれだけ。

舞台感想「霧のむこうのふしぎな町」

2017/07/09 RITROVO 3 ピアノ朗読劇 「霧のむこうのふしぎな町」 ★★☆☆☆

★は個人的好み度(一般的な出来の良し悪しを評定するつもりはないです)

 

一言で、毒が無さすぎる綺麗な物語。
あまり響かなかった。
とはいえ、

この物語を世界中のこどもたちに
自分がこどもだった頃を忘れがちな、かつてこどもだった大人たちに
心からの友情をこめて贈ります

というものなので、こどもの心を失った自分の問題ではある。
ただ、絵本を読み聞かすような風合いが多く、描いてほしかったファンタジー感が物足りなかったのは事実な気がする。
意外と子供って小さくてもリアルを感じ取るものだと思うけどね。
それでも、なんだか少し懐かしい気分にはなった。

話が少し逸れることを許して貰えば、自分は子供の頃「エルマーのぼうけん」シリーズが大好きだった。
考えてみればあれも毒が無いストーリーだが、読む度にファンタジー世界の冒険を楽しんだものだ。
リュックサックに色んな道具を詰め込んでそれらを使うワクワク感。
それで一度、「エルマーのぼうけん」の劇を近所でやるというので親に連れて行って貰ったことがある。
結局、記憶はあまりないのだが、ふーん…で終わったような感覚がある。
言い換えれば、記憶に残らないほどのものだったとも言える。
ただ、そのはずなのだが、今回の劇を観てなんとなく当時の「目の前が広がっていくような子供の頃の空気感」のようなものを思い出した。
劇を観に行ったという事実が無ければ、こうやって思い返すことは無かった気がするのだ。
エルマーと一緒に冒険をしたあの頃の視界を。

今回の劇でも、子供を何人も見かけた。
霧のむこうのふしぎな町」が好きで楽しみに来た子もいるのかもしれない。
願わくはこの劇を観た子供達にとって、大人になった頃に思い返して味わう今になることを。

舞台感想「ファラオの墓」

2017/06/04 演劇女子部「ファラオの墓」 ★★★☆☆

★は個人的好み度(一般的な出来の良し悪しを評定するつもりはないです)

 

モーニング娘。'17 主演の舞台「ファラオの墓」、太陽の神殿編・砂漠の月編それぞれ1公演ずつ観てきました。
その感想の記録。

www.gekijyo.com

ざっくり感想

ナイルキア野中ヤバない?……というのは後に書くとして。
トーリーはちょっとテンポ早く進んでしまう感が強く余韻が少ないが、若くて勢いのある感じは良い。
ちょっと中二感というか漫画感が強いが、基本的には王道。
泣かせにくるシーンでは、素直に泣かされた。
演技は拙いところも多いが、キャラクター性の強い登場人物達が個性的に動き回る様は観ていて楽しく、違和感無く受け入れられた。
一番好きなのはミュージカルパート。流石アイドル、歌が上手い。
物語で感情が乗ったところに気持ちを込めて放たれる歌に、こちらの感情も入ってしまう。
全体としては、娘。に興味ある人であればエンタメ的に楽しめる舞台という感じ。
(興味無い人はまぁ多分そもそも観ようとしないでしょきっと)

人別感想(全員分は無い)
  • スネフェル(石田・工藤)
    石田さんのスネフェルが飛び抜けて良かった。
    一番演技が好き。大人びていて、悪っぽくも魅惑的な雰囲気。そして愛。
    このせいもあって、片方だけ観るなら断然太陽の神殿編。
  • サリオキス(工藤・小田)
    印象にはあまり残らない。普通の主人公。
    アンケスエンとの恋も、スネフェル・ナイルキアに比べるとよく分からん感。
    工藤さんの主人公感はしっくりきた。
  • ナイルキア(野中)
    優勝。
    優しく美しい歌声。
    周りの男性役達の力強く張り上げるような歌声の中で、可愛くも芯のある歌声が一際浮き上がる。
    トーリー上の扱いが良いこともあって、感情を歌うシーンの攻撃力が抜群に高い。
    野中さんの演技も素直で良いし、ハープとかいう感情加算ポイントもあるよ。
    好き。
  • アンケスエン(譜久村)
    良い人なんだけど、うん。演技と歌は文句無い。
  • ネルラ(飯窪)
    いちいち動きが可愛い。
  • マリタ(生田)
    魅力的な悪役。殺陣の格ゲー感も楽しい。
  • イザイ(加賀)
    かっこいい。声量良い。
    加賀さんはあれね、工藤さんいなくなったら少年系主人公役に良さそう。
  • パビ(横山)
    シリアス多めな中で大事なコメディ要員。
    演技も上手いし可愛いキャラに仕上がってて何気に凄い。

 

来年もタイミング合えば観たい。

舞台感想「天の敵」

2017/05/20 イキウメ 「天の敵」 ★★★★★

★は個人的好み度(一般的な出来の良し悪しを評定するつもりはないです)

 

(軽いネタバレあり)

 

ジャーナリストの寺泊 満は、菜食の人気料理家、橋本和夫に取材を申し込む。
きっかけは妻の優子だった。
寺泊は難病を抱えており、優子は彼の為に橋本が提唱する食餌療法を学んでいた。

当の寺泊は健康志向とは真逆の人間だが、薬害や健康食品詐欺、疑似科学や偽医療の取材経験も多く興味があった。
優子がのめり込む橋本を調べていく内に、戦前に食餌療法を提唱していた長谷川卯太郎という医師を知る。

寺泊は長谷川と橋本の容姿がよく似ていたことに興味を持ち、ある仮説を立てて取材に望んだ。
寺泊は、プロフィールに謎の多い橋本は長谷川卯太郎の孫で、菜食のルーツはそこにあると考えた。
橋本はそれを聞いて否定した。
実は橋本は偽名で、自分は長谷川卯太郎本人だと言う。本当なら122歳になる――。

http://www.ikiume.jp/ 「天の敵」

土曜に劇団イキウメ公演「天の敵」を観てきた。
イキウメの作家である前川知大さんの関わった「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」を観たことがあるだけで、イキウメの劇団公演は初めて。

結論から言うと、物凄く面白かった。
好きだな~と思った幾つかの要素があるので、書き並べてみる。

非現実のリアル感

この作品で抜群に好みなのが、非現実のリアル感。
現実と地続きな非日常世界が本当にあるのではないかと思わせる感触。
ざっくり言うと「あぁ、122年生きてきてるわコイツ」感が凄い。
設定の説得力もあるし、体験したかのように語る演技の説得力もある。
個人的にこの非現実のリアルさはSFの大事なところだと思っているので、そこを丁寧に描ききっているのがとても好き。

語られる過去のシーンと現在を同じ舞台上で織り成す

これはもしかしたら、イキウメの得意技だったりするのかな?
回想の語り手や聞き手(以下、現在組)が舞台上に残ったままに、別の演者が出てきて過去のシーンを演じる(以下、過去組)という技。
これの面白いところは、
・現在組が過去組に対してリアクションを取る
・現在組が一緒に過去シーンを演じ始める
というコメディ的なカットを挟んでくるので、軽く笑ってしまうところ。
全体的にはシリアスなストーリーだったが、時折笑わせてくれるおかげで全体がグッと引き締まる。
遠野物語でも似たような演出を使っていて、面白いなぁと思った記憶がある。
切り替えのややこしさ無くスッと頭に入ってくるのは凄いところ。

今回の「天の敵」に関して言えば、語り手である長谷川卯太郎の回想の時系列が過去から現在に近づくにつれて、過去と現在の干渉を強くしていっていたのが上手いと思わされた。
具体的には、
・初めは過去組に対してリアクションの薄い現在組が、段々と過去組にリアクションを取るようになってくる
・現在組が一緒に過去シーンを演じるようになる
・長谷川卯太郎の過去役がいつの間にかいなくなり、現在組の長谷川卯太郎が過去役も演じ始める
・過去組が起こした物理現象が、現在組の場所で起きたこととして扱われるようになる
と順に変化していた。
トーリー上、122歳の人物の過去から現在を描く必要があるため、この演出によってとても長い時間を遡りつつも、現在と遠い過去が一本線で繋がった人物が、本当に生きてきたのだというリアルな感触を描き出すことに成功していたように思う。

生きる意味と向き合う物語

つまりはお話が良いってことなんだけれども。
兎にも角にも、考えさせてくれる要素が多い。
このシーンや設定の意味って、もしかしてこういうことじゃ…!という解釈をしてみたり、純粋に物語を自分に当てはめて考えてみたり。
多分人それぞれ違う考えに至るのだろうけど、各々に妄想の自由を与えている。

キャッチコピーが「人生という、死に至る病に効果あり。」
死を治療することは、もはや人の生では無くなる。
食を楽しめない、子供を作れない、戸籍が残せない...etc.
それでも老化や病気によって死を目前にすると、人は恐怖から死を逃れようとする。
目前にしなくたって、人は健康でいたいと願い続けている。

改めて考えるとラストシーンの言葉の意味も、どちらとも取れるように思う。
死を受け入れることとも、人としての生を捨てることとも。

もしも人生の果てを「人生の放棄」と「死」のどちらにするかを選ぶことが出来るようになったとしたら、自分はどちらを選ぶのだろうか。
妄想は尽きない。

ラムメモ

ラムは甘い夢を見る - 雪鳥の記憶
の続きってわけじゃないけど、それ以降に飲んだラムのメモ。
抜けはあるはず。
そして、期間空いちゃったのは記憶が無い……ちゃんと感想メモっておかないと味が思い出せないYO

  • ロン・ミロナリオ
    まろやかに甘くて飲みやすい、甘い系のスタンダードとしていいかも
  • ロン・グアンタナメラ
  • ロン・ムラータ
  • ロン・マツサレム
  • エスターホール プランテーション
  • ロン・ベルムデス
  • ロン・カルタビオ
  • ロン・センテナリオ フンダシオン(20年)
    俺の嫁(若くて華やかな20歳バージョン)
  • ロン・センテナリオ エディシオン・リミテーダ(30年)
    俺の嫁(包み込む優しさ30歳バージョン)
  • サンタテレサ
  • ディクタドール
    コーヒーのような香ばしさ、カラメルっぽくも感じる
  • HSE サンテティエンヌ
    アグリコールなのにクセが嫌らしくなく、ぼわっと広がる感じを楽しめる

*番外編*

ラム以外で記憶に残ったお酒

  • テロルデゴ・アルタ・セレツィオーネ(グラッパ
    樽熟成されたグラッパで、グラッパ特有のハシュッとした葡萄感はそのままに優しい香りで抜けてとても凄い
  • クライヌリッシュ(ハイランドモルト
    独特なヌリッとした味(ほんとか?)で、飯に合わせたい
  • シボーナ アマーロ(アマーロ)
    甘いけど苦味があってデザートっぽい
  • エミリオ・ルスタウ イーストインディア(シェリー)
    甘くて飲みやすいシェリー、これなら飲める

蒸留酒って本当に種類多くて凄い。

舞台感想「スパイスアップ・ナイトパレード」

珍しく単発感想。
★は個人的好み度。一般的な出来の良し悪しを評定する気は無い。

2017/04/30 劇メシ JUNCTION 第一弾「スパイスアップ・ナイトパレード」 ★★★☆☆

Twitterで母体の「劇メシ」からフォロー芸を食らったので興味を持って観に行った。

分岐型演劇という風変わりな形式。
舞台は4階~6階のクラブ風のパーティ会場で行われ、登場人物がストーリーに合わせてそれぞれ動き回るのでどれかを追いかけるスタイル(必然的にオルスタ)。
物語構成上、自分達もそこで開かれる「ナイトパレード」の参加者であるという形で観ることになる。
物理的に近い距離で演技されることに加え、自分で足を動かしての参加型なので精神的にも物凄く近い距離感となる。

体験としてはとても楽しめたが、エンディング付近の構成はやや強引に感じた。
演技に凄みがあれば引き込ませることも出来たかもしれないが、そこまでを要求するのは酷。
あとは、物語上の捻りも何か一つあればぐっと引き締まったのにと思うのが勿体無い。
スッキリ解決させたと見せかけて「いや、あれってもしかして本当は…」みたいなゾクッとする想像をさせる伏線をひっそり残して終わらせるとか(ただし1回しか観ていないので、分岐として観れていないだけの可能性はある)。

勢いで楽しめるエンターテイメント感は素晴らしかったので、第二弾が来たら観てみたい気はする。

2017年1月~3月 舞台感想(ネタバレ注意)

四半期毎に書くの?みたいなタイトルだけど、取り敢えず。
しかも1つは観る予定の作品(観たら埋める)。
★は個人的好み度。出来の良し悪しでは無いです。

2017/01/21 RITROVO poco 2「はじまりの星の音2」★☆☆☆☆

過去にやったもののシーンを抜粋したオムニバス?メインは歌だったとも言える。
実際、歌は良かった(広瀬さんのCDも買った)。
というか実質、今年初夏にやるらしい「霧のむこうのふしぎな町」の宣伝だった。
観たくなった、ズルい。観に行く。

2017/02/24 スキマニ vol.4 「オブキ」 ★★★☆☆

結構好き。
前回観たことだま屋本舗でも感じたのは、project i'nosの作品はキャラが非常に立っている。
今回の主役である小浮気芳郎もだいぶ変人だし、周りのアダムスファミリーみたいな脇役達も濃い。
コメディなので物語性は少ないが、キャラが濃いと意外と奥行きが出るもの。
ケラケラ笑えるいい作品。

2017/02/26 音劇 「北前船 ~とやまから新たな鼓動~」 ★★★★☆

名作。
和楽器&洋楽器の生演奏+日本舞踊&バレエのダンス+朗読という不思議な舞台。
生演奏が入ることで感情の高まりや静けさを引き出され、朗読で物語を情念ごと動かす。
日本舞踊とバレエによって動きがステージに創られ、視覚情報でも気持ちを揺さぶる。
声優さんの本気の朗読は凄い、感動してしまった(舞台観て泣いたの初かも)。
ストーリーと脚本も好み。
多くを言葉で語りすぎない、読み取れる情報は省いてる感が凄くいい。
そして悲恋の物語、だけど後味は悪くない。最高。

P.S.
ついでに富山旅行したけど、それも楽しかった

2017/03/06 オフィスコットーネ 「The Dark」★★★☆☆

玄人ウケしそう。
舞台が寝室やリビング等の6区画くらいに区切られている面白いセット。
例えば寝室なら、ある時はこの家族の寝室、ある時はあの家族の寝室、といった具合に3家族分の家を表現する構成。
途中まで家族同士は交流しないのだが、妙に会話が噛み合ったりするのが面白い。
かと言って、アンジャッシュラーメンズほど上手くは無い。
仕掛け系の割に物語がスルッと投げるパターンで、個人的にはもう少しロジカルにカチッと腑に落ちる構成が欲しかった。
ただ、この組み合わせが好きな人にはハマるかもしれないポテンシャルはある。

2017/03/10 日本劇団協議会檸檬の島」 ★★☆☆☆

苦手なジャンル。
「日本の劇」戯曲賞2015らしい。
なんというか説教くさいし、消化しないといけない文章量が多いのか、台詞長いのにテンポが早い。
多分本で読んだら面白いんだろうな、というのと、演技は好きだったので、少し残念。
特に茜&笹倉周りが消化不良。

2017/03/25 劇団ハーベスト 第11回公演 「杜町ペッパージャム」 ★★★☆☆

好き。
荒削りな感じがあるものの、逆にストーリーとしてのインディーズ感にマッチしていて良い。
感情のぶつけ合いに心動かされた。夢、青春。